SPCとは何か?
不動産証券化においては、証券化対象不動産が生み出すキャッシュフローを裏付け資産にして資金調達を行うことから、オリジネーターの信用リスクから切り離して運用・管理されなければなりません。そのような受け皿として使用されるのがSPV(Special Purpose Vehicle)なのです。その中でも最も一般的に使用されているのがSPC(Special Purpose Company)です。
SPCにおいては、まず、オリジネーターの倒産等の影響を受けないように人的・資本的に無関係な状態(倒産隔離)にし、証券化に関する業務のみを行うようにしなければなりません。
さらに、二重課税を回避する工夫が必要となります。不動産の証券化においては、SPCの利益に法人税が課税され、法人税控除後の分配される配当についても、投資家に課税されることになります。この二重課税問題を回避する方法は別の記事でご説明したいと思います。
さて、SPCには一般的に基づく法律によって下記のように分類できます。
①合同会社+匿名組合(GK-TK):会社法
②特定目的会社(TMK):資産の流動化に関する法律
③投資法人:投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)
各々の詳細について説明していきます。
①合同会社+匿名組合(GK-TK)
合同会社は会社法に基づいた会社形態です。特徴としてはa.設立が容易である、b.法人の維持管理コストが株式会社に比べてローコストである、c.柔軟なストラクチャーが組めるといった特徴があります。
匿名組合が利用される理由は、二重課税を回避し、事業利益をほぼ投資家に還元する仕組みが可能だからです。不動産証券化においては、合同会社SPCを営業者とし、エクイティ投資家を匿名組合とする匿名組合契約を締結します。
②特定目的会社(TMK)
特定目的会社は、資産の流動化に関する法律に規定されるSPVです。
TMKの場合は、税法上一定の要件を満たせば、配当損金算入が認められるという形で、二重課税を回避することができます。
また、不動産賃貸における減価償却費を分配することができないという特徴もあります。
不動産の証券化においては、信託受益権化できない不動産への投資や、開発型証券化などではTMKがよく用いられます。
③投資法人
投資信託及び投資法人に関する法律に基づき設立される法人であり、具体的にはJ-REITや私募REITはこの制度を運用した不動産投資信託です。
投資法人の場合においても、一定の要件を満たせば配当が損金算入可能となり、二重課税が回避される仕組みになっています。
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