今回は、信託受益権について説明していきます。
【信託受益権とは?】
信託受益権とは、信託の委託者が受ける権利のことです。
それでは、信託とはどういうことでしょうか。
信託とは、「委託者の設定した一定の目的に従い、当該財産の管理又は処分を受託者が行う行為」をいいます。
例えば、あなたが賃貸マンション1棟を保有しているとします。
しかし、賃貸マンションを運営管理するためには、オーナーであるあなたが維持管理費の手配をしたりしないといけません。
要は手間がかかるんです。
そこで、あなたが信託銀行に賃貸マンション1棟を信託(管理を委託)したとしましょう。
そうすれば、信託会社が受託者となって維持管理を行うことになりますよね。
あなたは信託受益権を持っているので、賃貸マンションの賃料収入から諸経費を差し引いた利益を受け取ることができるんです。
この諸経費の中には、信託をしたからこそ発生する費用があります。
それが、「信託報酬」です。
言ってみれば、委託者が受託者に支払う手数料のことなんです。
なんとなくイメージできたでしょうか?
面倒なことはお任せして利益だけもらう権利と思って頂ければよいでしょう。
ここで、信託報酬を支払うくらいなら、自分で不動産を保有していた方が良いのでは?と思う人がいるかもしれませんね。
ということで、ここからは信託受益権のメリットとデメリットを説明していきましょう。
【信託受益権のメリット】
①信託することにより通常の現物不動産を譲渡するよりも移転にかかるコストを安く抑えられます。信託受益権を売買する場合、金融商品取引法などの法令がかかってきます。つまり、現物不動産を売買しているということでないため、不動産取得税と登録免許税のコストを抑えることができるんです。
②管理の手間が不要になります。受託者である信託銀行が通常管理を行いますので、J-REITなどの不動産の証券化においては、信託受益権化されているスキームをよく見ます。
③信託受益権化することにより現物不動産が信託財産となるので、倒産隔離されることとなります。つまり、仮にオリジネーターが倒産したとしても、信託法上、独立の財産として保全されるということなんです。
なお、信託受益権のデメリットととしては、信託報酬というコストが発生することですかね。
ちなみに不動産を信託した場合、登記簿謄本(全部事項証明書)に信託されている旨が登記されることとなります。
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