生産緑地とは?2022年問題とは?不動産鑑定士が分かりやすく解説!

不動産鑑定士、中小企業診断士のズーヤンです。

最近は生産緑地の2022年問題という言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。

そこで、今回は生産緑地の2022年問題について解説していきたいと思います。

この記事は、次のような人向けに書いています。

「生産緑地って何?」と疑問に思っている人
「生産緑地の2022年問題って難しそうだから、分かりやすく解説してほしい」と考えている人
 

この記事を読むことで、生産緑地の2022年問題の概要を知ることができます。

 

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そもそも生産緑地とは?

前提として、生産緑地の概要について説明いたします。

生産緑地とは、生産緑地法第3条に定められており、市街化区域内にある農地のうち次の条件を満たすものを言います。

①良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの
②500m2以上の面積
③農林業の継続が可能な条件を備えているもの

ここで、ポイントとなるのは、市街化区域内にあるという点と500㎡以上の面積という点です。

逆に言うと、市街化調整区域内の農地は生産緑地とはなりえません。

また、市街化区域内であったとしても300㎡しかなければ、生産緑地とはなりえないんです。

さらに、生産緑地の大きな特徴として、30年間は営農しないといけないんです。

ただ、現実問題として、生産緑地に指定されているのに果物の樹が植えてあるだけでほったらかしというケースも少なからず散見されます。

生産緑地の税制上のメリットとは?

生産緑地の税制上のメリットは下記2点です。

①固定資産税と都市計画税が軽減される

市街化区域内の農地は、宅地並みの課税がされてしまうのに対して、生産緑地は、農地並みの課税になるので、固定資産税と都市計画税がかなり軽減されるんです。

②相続税の納税猶予を受けられる

生産緑地の相続税の納税猶予は、市街地農地として評価した場合の相続税額と農業投資価格により算出した相続税額との差額部分について納税猶予を受けることができる制度です。

こちらについては、別の記事で詳細の説明をしているので、参考にしてみてください。

生産緑地を解除するには?

生産緑地に指定されたら30年間営農しないといけないとなると、解除するにはどうすれば良いのか気になるかと思います。

生産緑地の解除パターンは下記の3つです。

①生産緑地指定後30年経過
②病気などの理由で農業に従事できない場合(ただし、医師の診断書が必要)
③本人が死亡し、相続人が農業に従事しない

基本的には、これらのパターン以外では解除することができません。

②の病気については、風邪とかそんな軽いもんでは認められません。

かなり重度な病気や怪我でなければ、認められないんです。

このように、生産緑地の解除というのは、非常にハードルが高いんです。

しかし、実務的な話ですが、生産緑地がある地区で土地区画整理事業を実施し、換地が500㎡未満であった場合、生産緑地を指定することができません。

したがって、実質的に生産緑地を解除することができるんです。

これはあまり知られていないので、不動産開発の実務をしていないと知っている人は少ないと思います。

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生産緑地の2022年問題とは?

さて、ここ最近テレビや雑誌で取り上げられている生産緑地の2022年問題について解説していきたいと思います。

なぜ2022年なのか?

それは、生産緑地の多くが、生産緑地の制度ができた翌年の平成4年に指定されているからです。

その30年後が2022年にあたるわけですね。

それでは、2022年になったら、具体的にどのようなことが懸念されるのでしょうか?

私が考えている懸念は下記のとおりです。

①生産緑地が解除され、宅地並みの課税になることにより、宅地として売却する地主が増えるかもしれない。
②①に付随して、宅地が大量供給されることにより、土地の需給バランスが崩れてしまい、地価の下落を招くかもしれない。
③定性的なことだが、市街化区域内の緑が減ることで、景観が崩れてしまうかもしれない。

以上が生産緑地の2022年問題の概要です。

実際のところ、生産緑地を延長する地主が多いかもしれませんし、問題という事態に陥らない可能性もありえます。

しかし、来るべき時に備えて準備しておくのに越したことはありませんね。

まとめ

いかがでしょうか。

これまでの生産緑地の2022年問題についてまとめますね。

生産緑地の2022年問題というのは、生産緑地が指定された平成4年から30年目にあたる2022年に発生するであろう問題のことです。

2022年問題の具体的な内容は次のとおりです。

①生産緑地が解除され、宅地並みの課税になることにより、宅地として売却する地主が増えるかもしれない。
②①に付随して、宅地が大量供給されることにより、土地の需給バランスが崩れてしまい、地価の下落を招くかもしれない。
③定性的なことだが、市街化区域内の緑が減ることで、景観が崩れてしまうかもしれない。
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