不動産鑑定士、中小企業診断士のズーヤンです。
あなたは生産緑地の2022年問題という話を聞いたことありますか?
実は生産緑地の2022年問題をむかえるにあたり、生産緑地法が改正されます。
しかし、生産緑地法の改正内容と聞くと少し難しく感じますよね。
そこで、今回の記事では次の人向けに記事を書いています。
この記事を読むことで、あなたは生産緑地法の改正概要を理解することができます。
なお、そもそも「生産緑地」や「2022年問題」がよくわからない!という場合、以下の記事を参考にしてみてください。
それでは、生産緑地の2022年問題をむかえるにあたり、生産緑地法が具体的にどのように改正されるのかについて解説していきたいと思います。
生産緑地法改正の3つのポイントは次のとおりです。
②生産緑地地区内で直売所や農家レストラン等の設置が可能に
③買取り申出が可能となる始期の延期
①面積要件の緩和
現行の制度の場合、生産緑地としての指定を受けるには、面積500 ㎡以上が必要です。
しかし、改正法では、「市町村は、公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して必要があると認めるときは、前項第 2 号の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、区域の規模に関する条件を別に定めることができる。」と規定されており、市町村の条例で 300 ㎡を下限に面積要件を引き下げることが可能となりました。
これにより、市町村ごとに最低面積の異なる生産緑地が想定され、これまで500㎡ギリギリの生産緑地のうち200㎡を宅地化して、残りの300㎡を生産緑地のままにすることも想定されます。
②生産緑地地区内で直売所や農家レストラン等の設置が可能に
生産緑地地区では一定の行為制限があり、農産物の生産又は集荷の用に供する施設等を除き、建築物の新築等が制限されているんです。
改正法では、「当該生産緑地の保全に著しい支障を及ぼすおそれがなく、かつ、当該生産緑地における農林漁業の安定的な継続に資するものとして国土交通省令で定める基準に適合するもの」で、次に掲げる施設の設置が可能となります。
条文 具体例は次のとおりです。
イ.当該生産緑地地区及びその周辺の地域内において生産された農産物等を主たる原材料として使用
する製造又は加工の用に供する施設 ジャム等の製造・加工所
ロ.イの農産物等又はこれを主たる原材料として製造され、もしくは加工された物品の販売の用に供
する施設 直売所
ハ.イの農産物等を主たる材料とする料理の提供の用に供する施設 農家レストラン
③買取り申出が可能となる始期の延期
現在生産緑地指定を受けている農地は、平成3 年9 月10 日の生産緑地法の改正を受け、平成4 年に生産緑地指定を受けたものが大半であると言われています。
生産緑地指定を受けると30年間の営農義務が課せられ、主たる従事者が死亡したり、どうしても農業を続けることができない病気や怪我になったりしない限り、生産緑地指定を解除するための市町村長への買取り申出をすることができません。
改正法では、「市町村長は、生産緑地指定から 30 年を経過する日(申出基準日)が近く到来することとなる生産緑地のうち、その周辺の地域における公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して、当該申出基準日以後においてもその保全を確実に行うことが良好な都市環境の形成を図る上で特に有効であると認められるものを「特定生産緑地」として指定することができる。」とし、特定生産緑地の指定の期限は「申出基準日から起算して10 年を経過する日」と規定されました。
なお、10 年経過後は、再度特定生産緑地の指定を受けることができるため、30 年経過後は生産緑地の指定を 10 年ごとに延長することができます。
(特定生産緑地の要件や行為制限等は通常の生産緑地と同様です。)したがって、生産緑地指定を受けてから30 年が経過する2022年に、生産緑地の所有者の選択肢としては下記の3パターンが想定されます。
②「特定生産緑地」の指定を受けて10 年間営農を継続する
③市町村長への買取り申し出も行わず、「特定生産緑地」の指定も受けず、いつでも買取り申出ができる状態で生産緑地を維持する
①の選択肢を選択する所有者が続出した場合、2022年問題が発生する可能性があるのです。
しかし、都市部の生産緑地と田舎の生産緑地とでは位置づけが異なる可能性があるので、今後の動向を注視する必要があります。
まとめ
いかがでしょうか。
生産緑地法の改正ポイントは次の3つです。
②生産緑地地区内で直売所や農家レストラン等の設置が可能に
③買取り申出が可能となる始期の延期
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