継続賃料(地代、家賃)とは?新規賃料との違いも分かりやすく解説!

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さて、今回は継続賃料について書いていきたいと思います。

継続賃料と聞いても、不動産関係の仕事をしている人でもあまりピンと来ない方もいるかもしれません。

そこで、まずは継続賃料と新規賃料とは何か?について説明していきたいと思います。

新規賃料(正常賃料)とは?継続賃料とは?

新規賃料(正常賃料)と継続賃料の定義は不動産鑑定評価基準に記載があります。

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう。

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう。

この定義だけを見ても少し分かりにくいですよね?

具体的な違いについて説明していきます。

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新規賃料と継続賃料の違いは?

新規賃料は、新しく誰かに土地や建物を貸そう又は借りようとする場合の適正な賃料を言います。

一方、継続賃料は、すでに賃貸借関係にある場合、賃料減額や増額の交渉をするときの適正な賃料を言います。

つまり、継続賃料は、すでに賃貸借関係にある相手とのこれまでの経緯や契約締結・賃貸借開始後の事情の変更を反映した賃料ということになります。

したがって、実際に鑑定評価をする場合、継続賃料の評価をする方が評価手法も煩雑で大変です。

不動産鑑定評価について勉強したことある人なら分かると思いますが、継続賃料を求めるためには新規賃料を求める必要があるので、継続賃料の評価は非常に手間がかかるというのは、ご理解いただけるかと思います。

また、継続賃料の依頼がある場合というのは、賃料の増減額請求を行い、交渉をしているが、スムーズに進んでいないことが多いので、調停目的のものも数多くあります。

その背景には、バブル期に土地の賃貸借契約を締結したが、その後の土地価格の暴落により、地代が割高になっている場合などがあります。

ちなみに大阪においては、オフィスの空室率が非常に低いので、オーナーからテナントが賃料増額の請求を受けても、別のオフィスに移転することが難しい状況にあるため、賃料増額を認めている事例も散見されます。このようなときには、テナントもしょうがないなと納得しているので、継続賃料の評価が来ることはないです。

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継続賃料の評価手法は?

継続賃料の評価手法には、4つの手法があります。

①差額配分法

②利回り法

③スライド法

④賃貸事例比較法

それぞれの評価手法の特徴を簡単に説明していきます。

①差額配分法

現行賃料(現在の賃貸借契約に基づく賃料)と新規賃料の差額を貸主と借主に配分する方法です。

例えば、現行賃料15,000円/坪、新規賃料20,000円/坪だとします。

このとき、差額は20,000-15,000=5,000円です。

この差額を配分します。

今回は、公平の観点から折版し、5,000円×50%=2,500円

よって、継続賃料は、15,000円+2,500円=17,500円となります。

②利回り法

この手法は、契約当初の利回りをベースに、経済情勢や不動産の価格変動を踏まえて、継続賃料利回りというものを求めて、継続賃料を算出する方法です。

③スライド法

この手法は、契約当初(厳密には、直近合意時点と言います。)から現在(価格時点)までの経済情勢の変動を踏まえて、変動率を算出し、現行賃料に乗ずることによって、継続賃料を求める手法です。

経済情勢の変動は、GDPや市街地価格指数、全国賃料統計、消費者物価指数、公示地価、相続税路線価などの変動を言います。

④賃貸事例比較法

この手法は、賃料の増額改定または減額改定の賃貸事例との比較により、継続賃料を求める手法です。

ただし、現実的には、賃料の増減額改定の事例を収集することは難しいので、適用しないことが多いです。

継続賃料の留意点

継続賃料においては、留意しておかないといけないことがあります。

それは、継続賃料は現行賃料と新規賃料の間の水準で決まるということです。

したがって、現行賃料10,000円/坪、新規賃料15,000円/坪だった場合、継続賃料は10,000~15,000円/坪ということになります。

仮に、このような条件のときに、多めの16,000円/坪に増額しようとしても、継続賃料の評価としてはできないのです。

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