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久しぶりのブログ更新になりますが、今回は「定期建物賃貸借」について書いていきたいと思います。
定期建物賃貸借とは?
定期建物賃貸借は、不動産業界では「定借(ていしゃく)」と略して使用されることが多いです。
みなさんもマンションを借りるためにいろんな不動産サイトや不動産屋さんに行ったことがあるかと思いますが、たまに立地が良いのに賃料が安いって思ったら、定借だった経験とかはないですか?
また、不動産鑑定の実務的には、オフィスビルや物流施設のテナントとの契約においても、定借は散見されます。
それでは、定期建物賃貸借契約は、普通の建物賃貸借契約と何が違うのでしょうか?
大きな違いは、「定借は契約満了による契約の更新がない」ことです。
通常、建物賃貸借契約の場合、契約期間が満了しても、更新拒絶の通知がなければ、契約は終了しません。
なおかつ、その更新拒絶をするためには、貸し主側に正当事由が必要となります。
つまり、借地借家法の趣旨として、借り主保護に主眼を置いているわけです。
しかし、定期建物賃貸借の場合、この更新拒絶の通知とかは必要なく、期間が満了したら、確定的に契約が終了することを約定しておくんです。
ただし、実務的には、定期建物賃貸借契約の期間が満了しても、更新ではなく、再契約という形をとることが多いです。
定期建物賃貸借契約の要件は?
それでは、定期建物賃貸借契約の成立に要件はないのか?と気になる方もいるかもしれません。
結論として、定期建物賃貸借契約には、要件が必要です。
その要件は下記のとおりです。
①書面による契約
②期間の定めがあること
③更新否定条項(更新がないことの合意)
④事前説明(更新がないことの説明)
①書面による契約
契約は必ずしも書面である必要はなく、口頭でも契約は成立するのが通常ですが、定期建物賃貸借契約を締結する場合、書面で行う必要があります。
つまり、契約の更新がない旨を合意していたとしても、書面によって契約していなければ、定期建物賃貸借契約の効力は認められないということになります。
②期間の定めがあること
定期建物賃貸借契約の場合、「定期」という文字通り、期間が定められています。
逆に言うと、期間の定めがなければ、定期建物賃貸借契約と言えないのです。
また、普通建物賃貸借契約の場合、借家人保護の観点から、1年未満の契約期間を定めた場合は、期間の定めがないものとみなします。
しかし、定期建物賃貸借契約の場合、1年未満の契約期間を定めることができるんです。
③更新否定条項(更新がないことの合意)
定期建物賃貸借契約の場合、更新否定条項が必要になります。
実務的にも、契約書を見ると、契約期間のところに、更新否定条項が入っているのをよく見ます。
ただ、更新はしなくても、再契約を認める条項が入っている場合もあります。
④事前説明(更新がないことの説明)
定期建物賃貸借契約には、事前説明も必要になります。
事前説明がない場合、定期建物賃貸借契約ではなく、普通建物賃貸借契約となります。
実務的には、事前説明をしたことの証明である書面の確認をすることがよくあります。
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