いつも不動産事典どっとこむをご愛読いただきありがとうございます。
本日は、不動産鑑定士はAIに代替されてしまうのか?について書いていきたいと思います。
不動産鑑定士という資格は、司法試験、公認会計士と並び文系の三大国家資格と言われています。(実際には、難易度は司法試験や公認会計士試験よりもかなり低いと思いますが…)
そんあ不動産鑑定士の仕事は、皆さんご存知のとおり、不動産の経済価値を貨幣額をもって表示することです。
つまり、このビルは一棟でいくらとか、この店舗の家賃はいくらとかを評価する仕事です。
不動産鑑定士はAIには勝てない?
不動産の鑑定評価は、街路条件、交通接近条件、環境条件、行政的条件などを踏まえて評価をしたりします。
ちなみに、各条件のイメージは下記のとおりです。
①街路条件とは、道路の幅員が広いか狭いか、その道路の連続性はどうかなどの条件です。
②交通接近条件は、駅にどのくらい近いかなどの条件です。
③環境条件は、周囲の環境による条件です。
④行政的条件は、容積率や用途地域などの条件をいいます。
実務的には、③の環境条件が一番定性的な要素を含む条件だと思います。
不動産鑑定士の試験では、数字が与えられますが、実務でこの環境条件の格差を数値化しようとするとかなり難しいし、鑑定士の判断に依存します。
しかし、AIであれば、統計処理などは超得意です。
当然のことながら、人間が勝てるはずがありません。
つまり、数字を出すことに関しては、不動産鑑定士はAIに勝てないんです。
不動産鑑定士に価値はないのか?
それでは、統計的な処理や、数字の計算でAIに勝てない不動産鑑定士は、価値はないのでしょうか?
私の意見としては、不動産鑑定士に価値はあると思っています。
なぜなら、不動産の価格や賃料は、例えば、ピンポイントで1000万円とか決まるものではなく、ある程度のレンジ(800万円~1200万円)があるからです。
不動産鑑定士が説明可能な範囲であれば、やや高めの価格であることや、やや低めの価格であることは、十分にあり得ます。
つまり、不動産鑑定士には、AIにはない柔軟性があります。
不動産鑑定士は、相手の気持ちを読むことができます。
したがって、相手に合わせて、不動産の価格の根拠を柔軟に説明することができます。
不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するお客様は、不動産の価格を知りたいだけの場合もありますが、そのお客様自身が社内で説明責任を負っていることがあります。
そのようなお客様が、社内で説明しやすいように、バックアップするのも不動産鑑定士の仕事だと思っています。
今後の不動産鑑定士のあり方とは?
今後の不動産鑑定士は、お客様を第一に考え、お客様に対してどのようなことをすれば、お客様に喜んでいただけるかにフォーカスすることが重要だと思います。
不動産鑑定士が、先生と言われて、あぐらをかいている時代はもう終わりました。
不動産鑑定士に限らず、士業全般が、専門知識があれば、食べていけるという時代ではないのです。
お客様のニーズをくみ取り、どのようなことをして喜ばせられるかが、今後の士業の生きていく道といえるでしょう。
コメントを残す