不動産の割引率と還元利回りの違いとは?【初心者向けに解説】

先日は、還元利回りと期待利回りの違いについて説明しましたが、今回は、割引率と還元利回りの違いについて説明していきたいと思います。

割引率と還元利回りと聞いても、普通はピンと来ないですよね?

具体的な説明の前に、まず不動産鑑定評価基準における還元利回りと割引率を見てみましょう。

【還元利回り及び割引率の定義】

還元利回り及び割引率は、共に不動産の収益性を表し、収益価格を求める ために用いるものであるが、基本的には次のような違いがある。 還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定にお いて、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率 であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を 含むものである。 割引率は、DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割 り戻す際に使用される率であり、還元利回りに含まれる変動予測と予測に伴 う不確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された連続する複数の期間に発 生する純収益や復帰価格の変動予測に係るものを除くものである。

定義だけを見ても分かりにくいので、具体的な違いについて説明していきましょう。

①使用する手法による違い

分かりやすい違いとして、還元利回りは直接還元法において使用する率であり、割引率はDCF法において使用する率です。

直接還元法は、ある一期間の純収益を還元利回りで割り戻すことによって不動産の価格を求める手法です。

例えば、ある一年間の不動産の生み出した純収益が1000万円だったとしましょう。このとき、還元利回りが5%だった場合、不動産の価格は1000万円÷5%=

2億円となります。

一方、DCF法においては、毎期の純収益を予測して、その純収益を割引率で割引いたものの総額と一定期間経過した後にその不動産を売却した場合の価格を割引いた額を足したものが不動産の価格となります。

このときに使用するのが、割引率なんです。

②本質的な違い

この2番目の本質的な違いが非常に重要です。

還元利回りの場合、将来において得られる純収益の変動予測とその不確実性が含まれています。

例えば、あるオフィスビルにおいて、現在の純収益が将来にわたって減少していくと予測したとしましょう。

その場合、現在の純収益を単に還元利回りで割り戻してしまったら、不動産の価格が過大に算出されてしまいます。

そこで、還元利回りに純収益の減少リスクを加算することになり、還元利回りが大きくなります。

還元利回りが大きくなることで、不動産の価格が下がりますよね?(不動産価格=純収益÷還元利回り という式なんで当然ですね)

このように還元利回りには将来の純収益の変動リスクが織り込まれているんです。

一方、割引率の場合、純収益の変動を予測したうえで、その変動している純収益を現在価値に割引くんです。

つまり、キャッシュフローの将来の変動を予測しているため、割引く前の純収益自体に変動リスクが織り込まれているんです。

よって、割引率には変動リスクが織り込まれていないんです。

まとめ

還元利回り:変動リスクとキャッシュフローの不確実性を含んでいる

割引率:キャッシュフローの不確実性のみを含み、変動リスクはキャッシュフローに含まれている

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