本日は、不動産の還元利回りと期待利回りの違いについて説明していきたいと思います。
不動産の還元利回りと期待利回りってなかなかイメージしにくいですよね?
同じ利回りなのに何が違うのかあまりよく分からないという方も非常に多いのではないでしょうか。
そこで、この記事は次のような人向けに書いています。
この記事を読むことで、還元利回りと期待利回りの違いを知ることができます。
還元利回りと期待利回りの違いは大きく2点あります。
②対象としている期間による違い
還元利回り、期待利回りとは?
還元利回りと期待利回りの違いについて言及する前に、まず、不動産鑑定評価基準におけるそれぞれの定義を確認しましょう。
【還元利回り】
還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである。
【期待利回り】
期待利回りとは、賃貸借等に供する不動産を取得するために要した資本に 相当する額に対して期待される純収益のその資本相当額に対する割合をいう。
ん~余計分からなくなったかもしれませんね 笑
ここから具体的な違いについて説明していきたいと思います。
①不動産鑑定評価の手法による違い
まず、大前提となる違いが不動産鑑定評価の手法による違いが挙げられます。
還元利回りは不動産の価格を求める手法である収益還元法において使用される率です。
一方、期待利回りは不動産の賃料を求める手法である積算法において使用される率という点で大きく異なります。
ざっくり言うと、価格を求める利回りか賃料を求める利回りかの違いです。
なお、収益還元法と積算法の定義は以下のとおりです。
◆収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在 価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この 手法による試算価格を収益価格という。)。
例えば、東京駅前や六本木などの中心地にはオフィスビルや商業ビルがありますよね。
これらのビルはテナントに入居してもらい賃料をもらうことにより収益をあげています。
また、ビルを運営するためには、維持管理費や公租公課(固定資産税、都市計画税)、修繕費などの費用がかかります。
これらを差し引きした残りの部分を純収益と言います。
この純収益を還元利回りで割り戻すことで価格を求めることができます。
P:求める不動産の収益価格
a:一期間の純収益
R:還元利回り
(※)厳密に言えば、これは収益還元法のうち直接還元法という手法にあたります。このほか、DCF法という手法もあります。
◆積算法は、対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに 期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を 求める手法である(この手法による試算賃料を積算賃料という。)。
例えば、オフィスビルを1棟建築するのに10億円を投資したとします。
せっかく10億円投資したので、当然最低でも10億円は回収したいですよね?
10億円を20年で回収しようとした場合、最低でも年間5000万円(=10億円÷20年)は回収しないといけません。
そこで、5%の利回りで家賃を収受すれば、10億円✕5%=5000万円の家賃を得たことになります。
ここで使用する利回りが期待利回りなんです。
ただし、厳密には建物の維持管理や公租公課などの必要諸経費等がかかってきますので、5000万円に加えて必要諸経費等を回収する必要があることに注意が必要です。
②対象としている期間による違い
還元利回りの場合、価格を求めるための利回りであるため、永久的に自分が保有することが前提となります。
つまり、対象としている期間が長い分、何か起こる可能性が高く、リスクが高いと言えます。
一方、期待利回りの場合、賃料を求めるための利回りであるため、賃貸借期間が対象となる期間となります。
つまり、還元利回りと比較して対象としている期間が短い分、還元利回りよりもリスクが低くなります。
これを式で表すと、次のような関係が成立します。
まとめ
いかがでしょうか。
最後に、還元利回りと期待利回りの違いをまとめると次のとおりです。
②対象としている期間による違い
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