バイアウトファンドとは?
バイアウトファンドとは、投資家から資金を集めて、その資金で成熟企業の株式を買い占めて経営権を取得し、企業価値の向上により株式売却のキャピタルゲイン(売却益)を得ることを目的としたファンドを言います。
バイアウトファンドは、PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)のうちの一つであり、PEファンドには他にベンチャーキャピタル、事業再生ファンド、ディストレスファンドがあります。
それぞれのファンドは、対象とする会社が異なります。
- バイアウトファンド:成熟企業
- ベンチャーキャピタル:ベンチャー企業
- 事業再生ファンド:経営不振に陥っている企業
- ディストレスファンド:経営破綻した企業
ファンドマネージャーに求められる能力
バイアウトファンドの運営主体を「ファンドマネージャー」と言います。
このファンドマネージャーの手腕によって、企業価値の向上の成否が決まります。
そんなファンドマネージャーには、企業価値を向上させる能力が必要となり、以下の能力が必要となります。
①リスクの洗い出し
リスクを洗い出さないと、何を改善することで企業価値を向上させれば良いのか分かりません。
ファンドマネージャーは、DD(デューデリジェンス)により、会社の問題点を洗い出していきます。
②リスクの選別
DD実施後にリスクの選別を行う必要があります。
リスクが最小限にできるものなのかどうかを見極める必要があります。
③リスクの縮小化
選別したリスクを実際に解決していきます。
このリスクを縮小化できるかどうかが企業価値向上の成否を握っています。
企業価値向上のための施策
ファンドマネージャーは、投資先の企業価値の向上のために、3つの項目について検討することとなります。
①利益成長
利益を成長させるためには、売上を上げるか費用を削減する必要があります。
投資先の企業が業界平均よりも優れているところと劣っているところを見極め、優れているところは伸ばし、劣っている点は業界平均の水準まで引き上げるようにします。
②マルチプルアービトラージ
マルチプルは企業の特定の財務指標と企業価値や時価総額と比較した際の倍率のことを言います。
例えば、企業事業価値(EV=時価総額+有利子負債-非事業資産)のマルチプルには、EVの売上高に対する割合を示す「EV/Sales(売上高)」、EVのEBITDAに対する割合を示す「EV/EBITDA」などがあります。また、時価総額マルチプルであれば、時価総額の純利益に対する倍率を示す「PER」、時価総額の純資産(簿価)に対する倍率を示す「PBR」などがあります。
企業のマルチプルがイグジット時にどのくらいに成長しそうかを検討することになります。
③レバレッジ効果
買収金額の一部を金融機関からの借入れにより賄うことでレバレッジ効果が見込めます。
なぜなら、借り入れを行うことで、少ないファンドの出資額でもそれ以上の買収が実現するからです。
しかし、当然のことながら、その分リスクもあります。金融機関からの借り入れは返済義務があるからです。企業価値向上に失敗しても金融機関に対して融資の返済をしなければなりません。
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