パックマンディフェンスとは?
皆さんもニュースやドラマなどで敵対的買収という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
敵対的買収というのは、買収の対象企業の事前の同意を得ないで株式を買い占めて買収することです。
敵対的買収により会社を買収されてしまうと、経営権を握られてしまうこととなりますので、なんとか阻止するために防衛策を講じるわけです。
その敵対的買収の防衛策の一つに「パックマンディフェンス」というものがあります。
パックマンディフェンスとは、買収をしかけてきた企業の株式を4分の1(25%)以上取得することで、その企業の議決権を無効化することで、敵対的買収から防衛することを言います。
企業の経営権を取得するためには過半数~3分の2以上取得する必要がありますが、相互保有株式の場合には、25%以上を保有することで、その相手企業の保有する自社の株式を無効化することができるのです。
これは、会社法308条第1項に基づいています。
会社法308条第1項
株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。
パックマンディフェンスのメリット
①敵対的買収を阻止できる
メリットというよりもパックマンディフェンスの目的ですが、敵対的買収を防衛することができます。
相互保有株式の場合、25%以上の株式を保有することで、敵対的買収の防衛をすることができます。
会社の意思決定をしようと思うと、過半数~3分の2以上の株式を取得する必要がありますので、25%の持ち分は多くないと言えるでしょう。
パックマンディフェンスのデメリット
①莫大な資金を要する(買収可能な金額でなければ阻止できない)
パックマンディフェンスの大きなデメリットは、莫大な買収資金が必要であることです。
買収を仕掛けてくる会社の規模がそれほど大きくなければ、問題ないかもしれませんが、時価総額が4000億円だった場合、1000億円もの資金が必要になります。
②経営上のメリットがない
パックマンディフェンスは、買収を仕掛けてきた会社の株式を25%以上取得することによって、議決権を無効化するため、当然のことながら、自社も買収を仕掛けてきた相手に対して議決権を行使することができず、買収防衛以外に経営上のメリットがないのがデメリットです。
③非上場会社や個人からの敵対的買収は阻止できない
パックマンディフェンスは、敵対的買収の防衛のために、相手の株式を25%以上取得する必要があります。
しかし、相手が非上場会社や個人であった場合、株式を取得することができず、敵対的買収を防衛することができません。
その他の買収防衛策
パックマンディフェンス以外にも買収防衛策は多数あります。
- ゴールデンパラシュート
- ポイズンピル
- 黄金株
- スタッガード・ボード
- クラウンジュエル
- ホワイトナイト
まとめ
パックマンディフェンスのメリット
- ①敵対的買収を阻止できる
パックマンディフェンスのデメリット
- ①莫大な資金を要する(買収可能な金額でなければ阻止できない)
- ②経営上のメリットがない
- ③非上場会社や個人からの敵対的買収は阻止できない
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